「島大ミュージアム学」第2回の質問・回答

◆「パレオパラドキシア」に関する質問


(質問)パレオパラドキシアは、なぜ急速に絶滅したのか?
(回答)
 体勢や歯が非常に特殊な進化をした、ということは餌や生息環境が非常に限定されていたことを意味します。少しの環境変化によっても、かれらの生活は大きく影響をうけたはずです。束柱目が絶滅した中新世中期中頃という時代は、世界的に寒冷化が進み、海域の環境が大きく変わったといわれています。パレオパラドキシアやデスモスチルスはこのような環境変化についていけず、生存競争に破れたものと考えられます。


(質問)パレオパラドキシアの鼻のあたりにあるのは髭か?
(回答)
 スライドで示したイラストは少しデフォルメしてあります。また、このような髭あがったかどうかは、あくまでも想像にすぎません。


(質問)パレオパラドキシアはカバの系統に入らないのか?
(回答)
 カバは、「鯨偶蹄目(げいぐうていもく)」>「カバ科」>「カバ属」>カバと分類されています。パレオパラドキシアは、「束柱目」>「パレオパラドキシア科」>「パレオパラドキシア属」に分類されています。パレオパラドキシアの臼歯のように、柱を束にしたものは、他の哺乳類にはみられない特徴です。
 見た目が似ていたとしても、骨格や歯の特徴などを観察すると、進化の系統が異なることが分かります。


(質問)パレオパラドキシアの生態について教えてほしい。
(回答)
 体の重心が極めて低い体型はワ二のように水辺で生活をするのに適しています。一緒に産出する化石や地層の状況から、パレオパラドキシアは海岸に近い浅い海に生活し、時々、陸に上がって休むこともした、と考えられています。
 パレオパラドキシアは、上下それぞれ8本ずつの前歯(切歯と犬歯)とそれぞれ12本ずつの臼歯(小臼歯と大臼歯)を持っていました。おそらく砂地の海底に生えている比較的柔らかい海草などを前歯ですくいとり、臼歯ですりつぶして食べていたと考えられています。


(質問)パレオパラドキシアの臼歯は、なぜ柱が束になっているような形態か?
(回答)
 海草などの食べ物をすりつぶして食べやすいように、進化したものと考えられています。



参考HP 島根大学汽水域研究センターのページ (回答に関して一部、引用しています。)