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ミュージアムミッション
大学博物館の必要性
基本理念
目的
基本的性格
主な機能と中長期的活動項目

その他

規則

組織


■大学博物館の必要性
 島根大学(以下「本学」という。)では,以下にあげる主な理由から,大学博物館を設置する必要性が生じていた。

(1)これまでの埋蔵文化財調査研究センター
 埋蔵文化財調査研究センターは,文化財保護法(昭和25年法律第214号)を順守して,永年にわたり,大学構内遺跡の調査研究,出土遺物の保管・陳列などの活動を継続してきた。センター展示室は,平日のほか,予約があれば休日も開館しており,例えばオープンキャンパス・学園祭などでは,学外の一般市民・受験生などが数多く見学するなど,好評を博してきた。また,当センター教員によって,所蔵資料を教材にした学芸員養成のための博物館教育もなされてきた。
 大学構内遺跡の調査研究業務は今後とも継続していく見込みだが,島根大学中期目標の「開かれた大学」・「地域とともに歩む大学」を実現するような,より幅広い活動を打ち出していくためには,当センター既存機能の枠内にとどまる従来通りの活動だけでは限界が生じてきていた。

(2)本学所蔵の有形知的財産の活用
 本学には,埋蔵文化財調査研究センター所蔵資料以外に,山陰各地の考古資料・歴史資料,自然科学諸分野の各種学術標本,古地図,学校教科書,古典的実験機器・医療機器,松江高等学校・島根師範学校・島根青年師範学校・島根県立島根農科大学・島根医科大学などの学校史に関する資料をはじめ,膨大・多岐の学術標本資料類・試作品などが,分散的に所蔵されている。これらの部分的な陳列活動は,埋蔵文化財調査研究センター,汽水域研究センター展示室,法文学部考古学研究室,附属図書館などで個別的におこなわれてきた。
 また,本学所蔵の考古資料情報については,「島根県遺跡データベース(島根大学地域貢献推進協議会・遺跡データベース分科会制作)」でインターネット公開され,25万件以上のアクセスがあるなど,大学がもつ学術標本閲覧に対する市民の潜在的ニーズには大きいものがある。
 しかし,こうした資料のほとんどが各部局に分散して保管され,これらを全学的・横断的に把握し,活用する組織の設置が,永年,学内外から待望され,急務となっていた。

(3)地域の文化行政や法人化した大学運営への寄与
 平成17年度から文化財保護法が一部改正され,文化的景観,近代文化遺産なども保護対象とされるなど,既存の定義では十分捉えられてこなかった多様な文化財が,ますます重要視されてきている。また,文部科学省・文化審議会文化政策部会が,平成17年2月にまとめた「地域文化で日本を元気にしよう!」と題した報告書のなかでは,大学が,国,自治体,住民,文化芸術団体,企業などと連携しつつ,地域文化の振興に組織的に参画していく必要性をうたっている。
 前述の本学中期目標「開かれた大学」・「地域とともに歩む大学」はこうした地域の文化振興行政などとも密接に関連しており,これを具体的に実現していくには,大学博物館施設が大きな役割を果たすことができる。既に,中国地方のほか,全国の国立大学法人でも,大学運営における重要なセクションとして,こうした施設が設置される趨勢にある。


■基本理念
 本学は,環日本海地域・山陰地域に位置し,宍道湖・中海,島根半島,出雲平野,隠岐諸島などの豊かで個性的な自然資源に恵まれた立地環境にあり,こうしたフィールドに根ざした研究によって多くの標本資料類などが蓄積されてきた。
 また,埋蔵文化財調査研究センターによる大学構内遺跡の発掘調査研究によって,本学松江キャンパスが,はるか7000年以上前の縄文時代から近世松江藩・近代島根県の時代まで,人類の営みの痕跡を刻んできたことが分かってきた。さらに,出雲キャンパスの周辺には,全国的にも著名な弥生遺跡・古墳,「出雲国風土記」にも記載がある奈良時代の遺跡などが豊富に残されている。
 また,本学は,その前身である,小学教員伝習所(明治8年設置)〜島根師範学校,島根県立実業公民学校教員養成所(昭和8年設置)〜島根青年師範学校,松江高等学校(大正9年設置),島根県立益田農林学校(大正10年設置)〜島根県立島根農科大学,国立島根大学(昭和24年設置),国立島根医科大学(昭和50年設置)などの長い歴史・伝統を有し,近代国家の成立から21世紀の今日に至るまで,島根県はもとより日本の高等教育・研究の地域拠点として,多くの人材を輩出するなど,きわめて重要な役割を果たしてきた。
 本学では,そうした自然・歴史・文化環境のなかに育まれながら高等教育・研究が実践され,数多くの実績があげられてきた。そこで蓄積されてきた標本資料類などは,いわば大学の歴史とも相即不離の関係にある。
 この大学博物館は,こうして蓄積されてきた標本資料類などを有形知的財産として保護・活用するとともに,本学先人の業績を顕彰し,学生・地域市民・同窓生・教職員などの本学への理解・誇り・愛着の醸成を助け,「開かれた大学」・「地域社会とともに歩む大学」の構築や本学の未来への躍進に寄与するために設置・運営するものである。


■目的
 島根大学総合博物館は,永年にわたって収集・蓄積されてきた本学における標本資料類などを大学所有の有形知的財産として位置づけ,それらを収集,整理・保管,調査・研究したうえで,展示公開などによる教育普及,情報発信の促進,地域貢献などを行うことを目的とする。
 また,総合大学である本学の様々な研究室で行われてきた過去・現在の膨大な研究成果,これからの研究展望などを一般市民に分かりやすく情報発信し,社会に開かれた大学の創造を目指す。
 さらに,本学の前身校も含めた長い学校史を調査研究し,これまでの著名な教員・卒業生の顕彰などを行い,個性的な学風をもつ大学の創造に寄与する。



大学博物館の目的


基本的性格
 欧米や東アジアなどの諸外国では,大学の設置要件として,附属図書館とともに附属博物館の設置が義務付けられ,標本資料類などを大量に保管・整理し,学術研究のほか,社会教育においても重要な役割を果たしてきた。近年,日本でも大規模国立大学や地方大学において全国的に様々な大学博物館の設置計画が立案され,次々に具体化されている趨勢にある。
 本学博物館は,こうした世界・全国の動向を重視しつつ,本学の実情に即して,以下のような特徴あるものとしていく。

(1)「大学まるごとミュージアム」のコンセプト
 概念上,本学構内(松江・出雲キャンパス,附属農場,演習林など)の屋内・屋外全体をまるごと博物館として位置付け,ネットワーク化によって活用をはかる。さらに,キャンパス周辺にある遺跡,古墳,城下町,自然・文化遺産などをも博物館資源として積極的に取り込んで,例えば見学ルートに組み込むなどの活用をする。


「大学まるごとミュージアム」概念図

(2)大学と社会との「インターフェイス」的役割
「開かれた大学」の構築を実践するために,学内の標本資料類などの公開のほか,研究・教育内容などを社会に分かりやすく紹介するなど,いわば大学と社会との「インターフェイス」的役割を担う。

(3)地域を重視した運営
 地域社会に根ざした運営を行ない,県内の各種博物館・センター・学校・教育委員会などとの密接な連携・交流をはかる。

(4)学内外人材の積極的活用
 「大学まるごとミュージアム」のコンセプトのもとに,本学教職員一人ひとりが学芸員としての意識をもち,それぞれの専門性を生かして,運営に関与してもらう。また,退職教員や学外の関係する人材,市民・学生ボランティアを積極的に活用する。

(5)情報技術の積極的活用
 学内関連部局と連携をはかりながら,ホームページ,データベースを構築・更新し、デジタル化した情報を積極的に発信する。


主な機能と中長期的活動項目
(1)標本資料類などの収集
標本資料類・学校史に関する資料などの収集
標本資料類などの移管・寄贈による受入れ

(2)標本資料類など(情報)の整理・保管・管理
・総合博物館所蔵標本資料などの整理・保管・管理
各部局など全学の所有標本資料類などの情報の把握・整理
・標本資料類などの保全・復元・修復・劣化防止

(3)調査・研究
・標本資料類などの調査・研究
本学構内埋蔵文化財の発掘調査・研究
学校史・本学過去の著名研究者・出身者などに関する調査・研究

(4)標本資料類などに関わる教育普及(展示など)・情報発信・地域貢献ほか
○展示活動
標本資料類などの展示企画と一般公開
キャンパスツアーなどによるキャンパス内研究室・展示施設などや周辺にある屋外資料の解説案内(子ども,受験生,市民向け)
学校史資料展示スペースの整備・公開
オープンキャンパスなどでの解説案内
・キャンパス内の樹木に樹木名称プレート設置
・キャンパス内でのミニコンサートの開催
○博物館学教育・社会教育など
博物館学関連(学芸員養成コース)講義・実習の実施
一般教養講義・公開講義「島大ミュージアム学」の開講
標本資料類などを用いた小中高校における「出張授業」の実施
他施設とも連携した公開講座・講演会の開催などによる普及啓発事業・社会人教育
○情報発信・大学宣伝
標本資料類などのデータベース構築・公開
ホームページ(インターネット博物館)の整備・更新
ニュースレター,ミュージアムガイドブック,パンフレット,『年報』などの刊行
・「ミュージアム・ロード」に統一デザインの案内板設置
・「ミュージアム・コアゾーン」の整備…ベンチ,彫刻の設置など
○地域貢献など
・標本資料類などを用いた産学連携,教育研究新領域創成の試行



島根大学総合博物館の主な機能